最近では米国株やETFなどに積極的に投資をしたいという方が増えていますが、一方で海外赴任や移住で日本を離れると「日本の非居住者」という扱いになり、日本の証券会社が利用できなくなります。
今回はそんな海外居住者でも株式投資ができる方法として、おすすめの海外証券会社をご紹介いたします。
目次
海外居住者・駐在員が株式投資する4つの方法
今回ご紹介する海外の証券会社は次の4つです。
①Firstrade
②eToro
③フィリップ証券(シンガポール)
④IB証券
Firstrade
Firstrade証券は1985年創業のアメリカのネット証券会社です。
現在では日本やタイ、シンガポール、マレーシア等を含む28か国にサービスを提供しています。
「対象国一覧」
Austria, Belgium, China, Czech Republic, Denmark, Finland, France, Germany, Hong Kong, India, Ireland, Israel, Italy, Japan, Korea, Macau, Malaysia, Mexico, New Zealand, Norway, Poland, Portugal, Singapore, Spain, Sweden, Taiwan, Thailand, United Kingdom
※2023年2月時点
✓こんな人におすすめ
Firstrade証券では、米国の株や債券への投資が可能です。
対応通貨は米ドルのみ、対応言語も英語のみとなりますが、米国株の取引手数料が無料ですので、投資対象が主に「米国株」という方にはおすすめです。
アプリの利用方法は簡単です。細かい注文操作などはウェブ版からの操作が必要です。
✓主な手数料
・口座維持:無料
・米国株取引:無料
・海外の銀行からの入金:銀行の海外送金手数料
・海外の銀行への出金:Wire送金手数料USD25
✓メリット
・米国株の取引・口座維持の手数料が無料
・DRIP機能(配当金の自動再投資機能)
・最低必要入金額の設定は無い
✓デメリット
・主な入金方法が銀行の海外送金のみ
・日本語に対応していない
・登録居住地以外への出金が厳しい
eToro
2007年創業の世界をリードするオンライン投資プラットフォームを提供する会社です。
シンプルかつ低コストが人気でシェアを急拡大している勢いのあるフィンテックサービスで、現在では世界で2000万人以上に利用されています。
「対象国一覧」
Argentina, Australia, Austria, Bahrain, Bangladesh, Belgium, Bolivia, Brazil, Bulgaria, Cayman Islands, Chile, Colombia, Costa Rica, Croatia, Cyprus, Czech Republic, Denmark, Dominican Republic, Ecuador, Estonia, Finland, France, French Guiana, French Polynesia, Germany, Gibraltar, Greece, Guadeloupe, Guernsey, Hong Kong, Hungary, Iceland, Ireland, Isle of Man, Israel, Italy, Jersey Island, Kuwait, Latvia, Liechtenstein, Lithuania, Luxembourg, Macau, Malaysia, Malta, Martinique, Mayotte, Mexico, Monaco, Netherlands, Norway, Oman, Peru, Philippines, Poland, Portugal, Qatar, Reunion Island, Romania, Seychelles, Singapore, Slovakia, Slovenia, South Africa, South Korea, Spain, Sweden, Switzerland, Taiwan, Thailand, United Arab Emirates, United Kingdom, United States, Uruguay, Vietnam
※2023年2月時点
✓こんな人におすすめ
eToroの特徴は、プラットフォームの使いやすさです。
非常に簡単な操作で株や暗号通貨の取引ができる他、CFD取引(差金決済)でレバレッジを活用した投資を簡単に行えるのが魅力です。
ただ、日本ではサービスを利用することができません。
レバレッジを活用した投資、日本に戻るまでの間の短期投資が目的の方におすすめです。
✓主な手数料
・口座維持:無料
・米国株取引:無料
・海外の銀行からの入金:銀行の海外送金手数料
・海外の銀行への出金:Wire送金手数料5USD
✓メリット
・株取引などの取引手数料が無料
・CFD取引、FX、暗号通貨の投資が可能
・コピートレードやバーチャル取引を利用できる
・1株未満から投資可能
・クレジットカード入金ができる
✓デメリット
・日本でサービスを利用できない (アプリが開けない)
・日本語に対応していない
フィリップ証券(シンガポール)
フィリップ証券はフィリップキャピタルグループの1社です。シンガポールに拠点を置き、世界16か国と地域に展開しています。5,000名以上のスタッフを持ち、総預かり資産350億ドル以上の規模を誇ります。
「対象国一覧」
ほとんどの国に対応している。
(一部の国と地域について、個別に口座の開設可否を判断)
✓こんな人におすすめ
フィリップ証券の大きなメリットは日本株に投資ができる点です。
その他、MMF口座(Money Management Fund、マネー・マネジメント・ファンド、公社債を中心に運用される資金の預け入れ口座)では、米ドルを入れておくだけで年利約5%の金利が日割り計算で適用されます。(2023年12月時点)
一方で、株の取引き手数料や口座維持手数料(一定の条件で免除)などがある為、大きな資金を元手に投資をされる方におすすめです。
また日本語のサポートデスクがありますので、英語が苦手な人も安心して利用できます。
WEBサイトはこちら
✓主な手数料
フィリップ証券のCash Plusアカウントでは口座種類によって手数料が変わります。
・口座維持:15SGD/四半期(四半期に1回の取引で免除)
・米国株取引:1.88~3.88USD
・日本株取引:0.12~0.18%(最低1,000~1,500JPY)
・外国株維持手数料:銘柄あたり2SDG/月(月2回または四半期に6回の取引で免除)
✓メリット
・世界中のマーケットにアクセスが可能
・日本語対応のサポートデスクがある
・ジョイント設定(相続対策)
・マルチカレンシー口座
(10通貨:SGD, USD, HKD, AUD, MYR, JPY, GBP, EUR, CNY, CAD)
・Wiseでの入金が可能
Wiseのホームページ
✓デメリット
・購入時や口座維持に手数料が掛かる
IB証券
IB証券は2022年で創立から45年、自己資本109億ドルになる米国に本拠を置くグローバル証券会社です。
世界150以上の市場でディーラー事業を展開しており、機関投資家やプロトレーダー向けにも取引、清算サービスを提供しております。
「対象国一覧」
IB証券は多くの国で口座開設が可能です。
※以下の国では、サービス提供をしておりません。
Cuba, Balkans, Belarus, Iran, Iraq, Libya, Syria, Yemen, Bruma, North Korea, Cote d’lvoire, Congo, South Sudan, Sudan, Zimbabwe
※2023年2月時点
✓こんな人におすすめ
IB証券はマルチマネー口座で多国通貨を口座内で保有することができます。
また投資できるマーケットも米国株や日本株などを含む世界中に幅広く投資が行えます。
株の購入は通常の数量指定以外にも金額指定の購入方法が準備されていますので、例えば小額から海外ETFなどに積立で投資を行いたい方や世界中のマーケットに投資したい方などにおすすめです。
✓主な手数料
・口座維持:無料
・米国株取引:1USD/回
・日本株取引:0.08%/回
・口座出金時:月一回は無料(2回目以降10USD)
✓メリット
・世界中のマーケットにアクセスが可能
・マルチカレンシー口座で多国通貨を保有できる(日本円、米ドル、中国元、ユーロなど)
✓デメリット
・過去に日本居住者の口座開設が停止している
・株の購入手数料がかかる
海外証券会社への入金方法
海外の証券口座に資金を送金する際、海外の銀行であれば比較的に容易に海外送金で証券口座に入金することができます。
一方で、日本の銀行はマネーロンダリング防止などの観点から、海外証券口座への海外送金にはほとんど対応してくれません。
現在、日本の銀行で唯一送金ができたのはSMBC信託銀行だけでした。
海外居住中に日本にある資金を活用して投資をする可能性がある方は、日本を離れる前にSMBC信託銀行の口座開設をしておくことをおすすめします。
海外証券会社を利用する際は国際相続の発生に注意
海外の証券会社を利用する上で最も気を付けなければいけないのは「国際相続」の発生です。
海外証券口座の契約者が亡くなると、相続人は証券口座内の資金を受け取る為にプロベートと呼ばれる認証手続きをする必要があります。
プロベートには時間と弁護士費用などの負担がかかりますので、生前に証券口座のログイン情報などをご家族と共有しておくことをおすすめします。
また、一部の海外証券会社ではジョイント口座を設定することができます。
ジョイント口座では口座の名義人を追加することができますので、もしも名義人の一人が亡くなった場合でも国際相続の発生を回避することができます。
日本に戻った後は確定申告が必要
日本に戻った後も海外証券会社を利用し続ける場合、20万円以上(一部例外あり)の売却益が発生するとご自身で確定申告をする必要があります。
申告しなくてもバレないと思っている方もいるかも知れませんが、日本含む多くの国がCRS(共通報告基準)の取り組みに参加しており、各国間での情報共有が今後加速することが予想されます。
従って、海外証券口座内で発生した利益を日本の税務当局が把握する可能性も今後さらに高まっていきます。
日本に戻ってからも海外証券会社を利用し続ける場合は、ご自身で確定申告する必要があることを予め理解しておく必要があります。
まとめ
海外証券会社は手数料が掛かることも多く、少しハードルが高いと感じる方もいるかと思います。
一方で、海外証券会社を利用することで、海外に居住している間も投資の機会を失わずに資産を運用することができます。
資産運用において「時間」はとても重要な要素です。
日本に戻ってから始めようと諦めるのではなく、どこにいても投資できる準備をしてはいかがでしょうか。